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ささやかな贅沢

そろそろ傘展の会期も、残すところ2日間となってしまいました。

昨日も、傘をオーダーしてみたいというお客さまがいらっしゃって、私たちスタッフも一緒に、こっちがいい、でも、これもいいとうれしい悩みで盛り上がりました。


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佐藤さんのお作りになる傘の生地は、決して派手なものではありません。

それでも、手にとって眺めると、そのはりや艶、手触りなど、しっかりと選び抜かれたものだということがよくわかります。

特に色は、ありそうでなさそうな、ほんとうに美しい色彩の生地が使われていて、見れば見るほど欲しくなってしまいます。

昨日、雨傘をオーダーいただいた若い女性のお客様は、鮮やかな黄色の晴雨兼用傘と深いオレンジ色の雨傘のどちらをオーダーするか、ずいぶんと悩まれていました。

黄色の晴雨兼用傘の生地見本は、会期後半に送られてきたもので、ぱっと目に鮮やかな黄色ですが、でも、風景の中で浮き出すような色ではなく、どこか自然な雰囲気を感じさせる黄色でした。

そう、なんだかレモンのような傘。こんな傘をさしてお日さまの下に飛び出すと、見ている周りの人まで元気になれそうな、さわやかではつらつとした黄色い傘です。

もうひとつの候補の、深いオレンジ色、深いという表現が難しいのですが、表面的でない、いろんな色を重ねて出来上がった深みのあるオレンジ色の雨傘は、落ち着いている色彩でありながら、やはりオレンジ系の華やかさが漂うすてきな傘です。

2本ともとってもすてきで、ほんとうにどちらをお進めしていいか、私たちも困ってしまうほどでした。

さんざん悩まれて、ようやく深いオレンジの雨傘に決められたお客さまの、次の試練(笑)がそれ以外のパーツをオーダーするという仕事です。

傘の取っ手の木の樹種見本だけでも10本以上あります。色も濃いものから薄いものまで様々です。

この色の違いだけで、傘の雰囲気がガラッと変わります。どんな雰囲気がお好みでしょう。

生地に取っ手の見本の木片を何度も当てては取り替えて、お客さまのお好みの雰囲気を見つけていきます。

取っ手が決まると、次は傘を巻くときに留める、留め玉の紐の色、ビーズの色、傘袋につける肩掛け用の紐の色、そしてワンポイントで入れる刺繍の図柄・・・。

果てしなく続く、楽しい作業。

お金って、買い物に出かけると簡単に使ってしまうことが出来ますが、こういう風に、じっくりと時間をかけて欲しいものを吟味し、納得してお金を使うというのは、ある意味とても贅沢なことだと思います。

こうして、すっかり自分のお好みで傘のいろいろを決めてオーダーいただいたお客様には、これからその傘を作家が一つ一つ手作りして完成させてくれるのを待つという、次の楽しみが始まります。

「もう、どれぐらいできたかなー」「思う通りの仕上がりになっているかなー」「いつ届くかなー」

こんな思いで、自分の傘の出来上がりを待つ日々。

これって、わくわくしてくると思いませんか。

オーダーメイドなんて、最近はほとんどすることもありませんが、こうして生活に使う自分の道具を、ひとつひとつ丁寧に揃えていくというのは、ほんとうに贅沢なことだと思います。

こういう小さな贅沢が、自分の暮らしをきらきらした輝きで彩ってくれます。

そらにわでは、そんな小さな楽しみのお手伝いができればいいなと思っています。




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by mikanhouse | 2012-06-09 11:19 | ギャラリー  

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